（製品と技術）：スーパー二相系ステンレス鋳鋼バルブの開発＜Nb添加による機械的性質·耐食性の改善と溶接部への影響＞

摘要

現在、石油精製設備や石油化学プラント装置の海水冷却熱交換器の管に多くの二相ステンレス鋼が使用されている。 一方、海水環境でのバルブ材料には安価なSCS 13A，（SUS 304相当鋳物）またはSCS 16A（SUS316L相当鋳物）が使用されているが隙間腐食が発生するため使用期間が短く、また高耐食性のNi基合金鋳物は非常に高価である。我々は海水用材料としてSCS 13A、SCS16Aよりも高い耐食性を有し、かつNi基合金鋳物よりも経済性に優れたスーパー二相系ステンレス鋳鋼に着目し、より優れた耐食性を得るため、耐食性向上に寄与する種々の元素について検討中である。 スーパー二相系ステンレス鋳鋼は耐孔食性を評価する指標として用いられるPREN（Pitting Resistance Equivalent Number）=Cr+3.3Mo+16Nが40以上あり、かつフェライト系ステンレス鋼とオーステナイト系ステンレス鋼の特質を兼ね備え、耐食性、耐摩耗性に優れた材料である。 本研究では、スーパー二相系ステンレス鋳鋼の耐食性向上のために26Cr-7Ni-4Mo-Nの基本成分にNbを添加し、Nbの耐食性および機械的性質に及ぼす効果、溶接部への影響について検討した。