発電プラントの配管と装置：発電プラントの保全技術発電設備の主要溶接部における検査技術

摘要

火力設備はその多くの部分が溶接構造物であることから、溶接技術および溶接継手部の品質を管理するための検査技術は信頼性のある製品を得るために重要である。 この重要性は、電気事業法第五十二条で溶接安全管理検査が規定されており、溶接の技術基準への適合性が求められていることからもわかる。 したがって、火力設備の主要耐圧部については、電気工作物の溶接の技術基準で定められている検査手法、検査方法·判定基準を適用し管理している。 それ以外の規定されていない箇所についても、メーカにて自主検査を実施しており、その一部については自動化が進んでいる。 一方、国内の火力発電用プラントの70％以上は運転時間が10万時間を越え、設備の老朽化が進んでいる。 また、原子力設備の台頭や、近年では新設火力、コンバインドプラント化による高効率化の進展に伴い、頻繁な起動停止や急速な負荷変化を要する既設火力が増加し、益々過酷な条件下での運用を求められている。 更に、近年の規制緩和から法定上の定検インターバルが2年から最大4年にまで延長可能であり、設置者の自主保安体制が強化される方向にあること、及び発電コスト低減の要求が次第に大きくなっていることから、経年火力設備での高精度な検査及び寿命診断技術は、安全で経済的に運転するために益々重要になってきている。 この様な背景の元、ここでは発電設備の製作時及び経年火力設備へ適応する場合の主要溶接部検査技術について紹介する。