高強度·高靭性ステンレス鋼の開発＜メカニカルアロイングを用いた粉末冶金法による作製＞

摘要

近年、結晶粒微細化に関する研究が活発に行われている。 特に鉄鋼材料ではナショナルプロジェクトとして研究が進められている。 当社（超高温材料研究所）はその中のプロジェクトの一つ「スーパーメタルの技術開発」に参画した。 このスーパーメタルプロジェクトは、当時の通商産業省工業技術院の新規産業創出型産業科学技術研究開発制度に基づき、新エネルギー·産業技術総合開発機構(NEDO)から（財）金属系材料研究開発センター(JRCM)と（財）金属·複合材料研究開発協会(RIMCOF)とが共同で受託したものである。 この研究開発の目的は、金属材料の結晶粒径を数μm以下に微細化するメゾスコピック組織制御技術などを駆使し、機械的特性や機能的特性を飛躍的に向上させるなどの基盤技術を確立することである。 当社は、RIMCOFが受託している二つのサブテーマの一つ、「ナノ結晶組織制御材料創製技術」の中の「微粒子微細分散技術」について、㈱日立製作所と共同で再委託を受け、強度·靭性に優れ、かつ高速超塑性加工が可能なステンレス鋼の開発を担当した。 作製手法はメカニカルアロイング(MA)を用いた粉末冶金法として、当社ではフェライト系ステンレス鋼を対象材料とした。