プレコートアルミニウム材の絞り加工における白化現象とその発生メカニズム

摘要

プレコートアルミニウム材の加工時に生じる皮膜白化について調査し以下の結果が得られた。 （1）白化はプレコート皮膜の種類，潤滑油，加工変形が組合さって生じる，皮膜の微細な亀裂が光を散乱させる現象と考えられる。 （2）白化はプレコート皮膜のガラス転移温度が高いほど生じやすい傾向にある。 これはガラス転移温度が高い皮膜は室温でほ硬いため，加工によってアルミニウム板が変形を受けた際に，皮膜に生じる内部応力が大きく，またこの内部応力が局部的に集中して残留しやすいためと考えられる。（3）潤滑油は皮膜の白化に影響を与える。 これは潤滑油が皮膜の表面エネルギーを下げることにより，皮膜の破壊強度が低下するためと考えられ，その結果応力集中部が破断する。（4）皮膜の白化を抑制するには，加工によって生じる皮膜の内部応力を下げることや，応力集中を防ぐことが有効であり，その手段の一例として皮膜のガラス転移温度を下げることの有効性を確認した。