AZ31マグネシウム合金板の深絞り性に及ぼす工具アールの影響

摘要

AZ31マグネシウム合金板の温問深絞り加工において，成形限界などに大きな影響を及ぼすパンチやダイの肩部半径，およびコーナ部半径の成形性に及ぼす影響について調査検討し，以下の結論を得た。 （1）現在市販されているMg合金板ほ，その製造履歴などにより成形性が異なる。 すなわち，パンチ肩部半径/板厚（R_p/t）の増加とともに成形限界（LDR）が向上するものもあれは　 R_p/tが2（2.2）以上になるとLDRがはば一定となる材料も存在した。 （2）いずれのMg合金板においても，ダイ肩部半径/板厚（R_p/t）が4～6と大きくなると，R_p/t才がこれ以上大きくなってもLDRが向上しなしごR_p/tの臨界値が存在することが判明した。 （3）ノミンチ肩部半径/板厚（R_p/t）が1（1.1）や2（2.2）程度の小さな工具アールで深絞りされ普三成形品には，先端部に割れや肌あれの成形不良の発生が避けられず，成形速度（ひずみ速度）を遅くしてもこれら不良の発生は回避できなかった。 （4）一辺の長さ/絞り深さ（L/h）が0.5の角筒容器の深絞り加工においてほ，コーナ部半径/板厚（C_p/t）が1程度の小さな条件でも成形が可能である（ただし，この場合R_p/t＝4，R_p/t＝4）。 （5）深夜り容器の先端部にサイジングにより矯正加工を行えば，先端部とコーナ部の半径のいずれもが被加工材板厚と同程度で，同部に割れや肌あれなどの不良発生がない角筒容器がプレス加工により成形可能であることを明らかにした。 なお，この場合の成形温度ほ，深絞り加工と同程度の470～520K程度であり，成形速度ほ30mm.S~(-1)である。 最後に，本研究の実験をお手伝いいただいた，当時日本工業大学卒研生の今井彰宏，小林祥宏，今井　 実の諸君に深く感謝するとともに，本研究に対し助成を賜った，財団法人軽金属奨学会，財団法人天田金属加工棟械技術振興財団に厚く御礼申し上げる。