微細亜結晶粒組織の7475系アルミニウム合金板材の機械的性質

摘要

材料温度とロール温度の双方を制御して作製したZrを添加した7475ベース合金温問圧延材の特徴は次のように要約できる。 （1）溶体化処理後の集合組織はβ一方位群，特にBrass方位{001}〈211〉の方位密度が極めて高く，圧延方向と450方向のr値が3を越える値を示す。 （2）温問圧延材ほ冷間圧延材に比べて平均ランクフォド値が高く，LDRが向上する傾向が認められる。 （3）温問圧延材に多く存在する小角粒界でほ，T6処理時にPFZの形成が抑制される。 このため粒界近傍と粒内の電気化学的特性差が小さくなることが耐SCC性を向上させる要因の一つと考えられる。 また，温間圧延T6処理材の小角粒界における粒界析出物ほ不連続に存在することも，耐SCC性の向上に寄与すると考えられる。 （4）温間圧延材のL方向疲労試験の疲労強度ほ，冷間圧延材より約10％高い値を示す。 　 本研究は，新エネルギー·産業技術総合開発機構（NEDO）から納金属系材料研究開発センター（JRCM）への委託研究「スーパーメタルの技術開発」の一環として行ったものである。 本研究の遂行に当たり，菊池パターン撮影およびその解析についてご協力をいただきました九州大学工学部　 堀田教授に深く感謝申し上げます。