炭化繊維を固定化担体とした高度排水処理用の矩形気泡塔の開発

摘要

炭化素材は生物的親和性を有しており，微生物の固定化に有効である．本研究では，硝化菌の固定化担体として炭化繊維の応用を考え，排水中の窒素の微生物的除去の促進について検討した．綿，レーヨンを試料として炭化実験を行い，比較的低い温度で炭化したレーヨンを固定化担体として選んだ．硝化菌を用いて微生物の付着性および窒素除去性能を検討したところ，硝化菌の固定化に対する炭化繊維の有効性が認められた．小型装置によるアンモニアモデル排水の処理実験において，炭化繊維を設置することによりアンモニア除去性能は高くなった．連続処理における固定化担体の条件を検討するために，大型矩形エアリフト気泡塔の流動特性を測定した．エネルギ収支式に基づいて液循環流量を解析し，塔内の溶存酸素濃度の分布を求めて嫌気領域の割合を推算した．炭化繊維を設置した装置としない装置を用いて連続排水処理実験を行った．BOD除去率は同じであったか，アンモニア除去性能は炭化繊維を設置した方が高かった．