夢から現実を伺う新生ターボ機械：分子気体力学効果を用いるマイクロ流体機械

摘要

高温·高圧·真空·放射線環境·閉鎖空間·微小寸法など人間が入り込めない極限空間·医療現場などの分野で、既存の技術では困難な微小世界での作業を目的としたマイクロサイズ機械の研究開発が開始されてからおよそ15年が経過した。 最近はマイクロサイズであることを利点として、微小量検体を極短時間で検査可能なラボオンチップ、さらにマイクロセンサやマイクロスイッチなどが開発途上にある。 このようなマイクロマシン開発における重要課題の一つに、微小物体へのエネルギ供給法の問題がある。 微小物体にエネルギを供給する方法には、電池搭載法や深宇宙探査用の放射線源搭載法などが考えられるが、本解説では、非接触及び配線なしの微小機械へのエネルギ供給法の一つである電磁波利用の光をエネルギ源とし光エネルギを固体表面の温度上昇に一度変換させた後、分子気体効果を用いて機械的な回転エネルギに変換する機構を利用した微小流体機械の一種と考えられるレーザ光マイクロアクチュエータを主として述べる。 特にガス環境下で、機械のサイズがマイクロ化したことを積極的に活用し、回転·振れ·振り子などの運動可能な作動原理や微小機械作動特性を紹介する。