イオン対の特性を活かした新奇触媒の創梨と高難度分子変換反応の開拓

摘要

分子変換反応の開拓と新物質の創製を基盤として発展を続ける有機 化学の分野において，優れた機能をもつ新規触媒の開発研究は必要不 可欠である。実際，有様化学の大きな発展の背景にはしばしば，不可 能を可能にする力をもつ新しい触媒が開発されたという事実が存在す る。大枚亨介氏は，イオン対の特性を活かした独自の分子設計戦略に 基づき，革新的な不斉触媒を創製し，未解決であった不斉反応を実現 してきた。例えば，アニオンとカチオンに異なる役割を期待するとい う発想のもと，イオン対型キラル配位子という概念的に全く新しい不 斉配位子を案出した。