MOT人材育成の推進—産学連携による新たな人材育成に向けて—

摘要

80年代に戦後世界の強者である米国を寒からしめた我が国の経済的繁栄をもたらした要因，その主要なものの1つは紛れもなく「イノベーション」であった。 産業界は，高品質と高機能を求める旺盛な消費意欲に溢れた市場に応えるための研究開発に取り組み，その成果は，巨額のハイテク設備投資へと迅速に反映された。 しかし，この時期の見事なまでの我が国産業の技術経営（MOT：Management of Technology）は，経済規模と共に膨れ上がった奢りのバブルがはじけ，経済的自信が喪失すると共に見失われてしまった。 これには，我が国産業が培ってきた現場主義に基づくOJT（On the Job Training）と自助努力による能力開発の伝統が，結果としてMOTの技量を体系化する道を閉ざしてきたことも要因となった。