睡眠学会の過去と現在

摘要

2014年7月3日から4日にかけて，徳島大学の勢井宏義先生を大会長として，徳島市のあわざんホールにて日本睡眠学会の第39回定期学術集会が開催された。参加人数は約1，800名ほどであったと聞いている。今大会では「からだ丸ごと，睡眠。」がメインテーマとして掲げられていた。このテーマに込められた想いは，生体の機能を解析しようする時，個々の機能の変化のみを追うのではなく，全体としてとらえることの大切さであった。睡眠の研究においても，一つの視点からだけでなく，さまざまな視点との関係の中で睡眠を考えていくことが重要であるというメッセージとして，筆者はその言葉を受け取った。睡眠研究に限らず，学問の専門化，細分化が進むにつれて，異質なもの，解釈しがたいものは排除して，シンプルに考えていく傾向にあるが，あえて，そういったものとのかかわりの中で，ある現象をとらえることにより，今までに見えなかったものが見えてくる，そういった反省も込められているように思えた。つまり，このテーマは，睡眠障害を抱える者をただ単に病人としてとらえるのではなく，家庭人，職業人といった多面体でとらえることの重要性を反映しているのではないだろうか。