高温融体の表面張力値とその温度係数に及ぼす酸素吸着の影響

摘要

溶接などの自由表面が係わる高温融体プロセスの制御や最適化のためには，表面張力の温度勾配を駆動力とした，マランゴニ対流による熱·物質輸送を考慮することが重要である．近年，計算機の数値演算能力向上や，優れた解析コードとソフトウェア開発によって，溶接現象においても可視化が可能となり，それは製品の高品質化，開発期間の短縮，低コスト化の観点から，プロセス設計において，欠かせないものになっている．信頼に足る数値計算を行うためには，融体の正確な表面張力とその温度係数が必要とされるが，従来の表面張力測定に関する研究では，表面張力に影響を及ぼす雰囲気酸素分圧(Po_2)の影響を考慮したものが非常に限られている．