高分解能·広計測範囲のドップラー速度計測と低演算コストのドップラーシフト補償による超音波距離·速度計測手法

摘要

超音波距離計測手法の一種であるパルスエコー法では、送信した超音波パルスと計測対象から反射したエコーとの時間遅れ(time of flight: TOF)を計測することで、対象との距離を求める。このパルスエコー法にパルス圧縮技術を適用した相互相関法では、受信信号と参照信号との相互相関処理を行い、得られた相互相関関数からTOFを計測することで、対象との距離を求める。相互相関法では、相互相関処理によって受信したエコーがパルス状に圧縮されるため、相互相関処理にエコーによるピークが表れる時間から高分解能でTOFを計測することができる。さらに受信信号に含まれる白色性雑音が相互相関処理によって低減されるため、受信したエコーの信号対雑音比(signal-to-noise ratio: SNR)が向上する。しかし相互相関処理では大量の積和演算を行う必要があり、その膨大な演算コストが実時間でのセンサ信号処理を困難にしている。著者らは、これまでに相互相関処理の演算コストを低減するため、1ビット△∑変調信号を用いた1ビット信号処理による相互相関を提案している。