医用超音波：超音波による微小気泡の破壊を用いた血管新生療法－微小出血による炎症と内因性血管成長因子の誘導、その安全性と有効性

摘要

血行再建術が適応とならない重症の虚血性疾患において、血管新生療法はその有用性が期待されている。 今回提案した超音波とマイクロバブルを用いた血管新生療法は、外因性の生理活性物質や薬剤を投与するのではなく、炎症を惹起·促進して内因性の血管成長因子の局所濃度を高めることによって効果、を得ようとする点に特徴がある。さらに、本法と外因性の成長因子あるいはサイトカインの投与を併用すれば、それらを単独で投与する場合より、投与量を減らして、したがって、コスト·副作用を軽減でき、しかも本法の効果を高めうる可能性も期待される。本法は、局所の微小傷害とそれに続く炎症の誘発という生体には有害な現象を必須とすることから、それらと効果とのトレードオフの観点から、実際に臨床に用いるまでには、超音波強度や照射条件、バブル濃度の最適化などの課題を解決する必要があることは言うまでもない。