都市ガス業界の電力市場参入日本ガス協会が様々な要望

摘要

都市ガス業界は現在，2年後にも実施が予定されている小売りの全面自由化に向けていかに対応していくか，大変な局面を迎えている。これまでも平成7年の大口供給制度の創設から自由化の問題には積極的に取り組んできたが，今回の改革はガス料金単価の高い家庭用が対象で，しかも供給区域の撤廃，総括原価主義の廃止といったこれまでの特権がすべて剥奪されるため，今後ひとつ対応を誤れば企業の存続も危うくなりかねない重要な問題となっている一方，この都市ガス改革に先立って電力でも自由化に向けて大改革が行われ，今後他業界からの電力への進出が予定されていることはよく知られているところ。独占に守られていた電力，都市ガスが揃って他業界に開放されるということで，行政は今後の各社の総合エネルギー産業化を指導していく予定だが，電力への進出については都市ガスも並々ならぬ意欲をみせている。既に電力の都市ガス業界家庭用への進出は確定的だが，都市ガス側もそれ以上に電力小売りに進出しようというわけだ。このため，先の総合資源エネルギー調査会ガスシステム改革小委員会では日本ガス協会が一般都市ガスを代表して今後の都市ガス業界の展望と電力事業への進出の意欲を表明し，積極的に電力事業へ進出していく考えを示した。今回，ガスシステム改革小委員会でそうした意気込みを示したのは，一方で電力への進出に当たって制度面などでの改革の必要性を訴えたかったからで，他業界にとっても全く関係がなくはない都市ガス業界の動きだ。