サウジアラビアLPガス価格政策史試論（7）

摘要

サウジアラムコのLPガス価格フォーミュラであるCPが94年10月に施行されたが，前回はその導入背景とその施行直後の状況等について述べた。 サウジアラムコが90年代の石油価格戦略を構築するのにどれほど心血を注いだかの一端を知ることができたと思う。 もう一つだけ紹介しておこう。 サウジアラビアのナーゼル石油鉱物資源大臣（当時）は95年4月22日，クウェートにおいて「21世紀に向けての産油国の挑戦」というテーマで講演をしている。 ここには資源を豊富に有しながら，それを有効に活用することができないもどかしさと悔しさが滲み出ている。 　 「産油国は潤沢な資源を持ちつつも，エ業の多角化が不十分なままに21世紀を迎えようとしている。 産油国にとって最も重要なのは石油需要のパターンと，それを左右する要因を理解することである。 また，産油国は財政的，技術的，経済的かつ環境問題の関係からも幾多の挑戦を受けていることを認識しなくてはならない。 」　 「OPECは世界の石油埋蔵量の76％を擁しながら，生産では41％を占めるに過ぎない。 20年前はそれは72％だった。 OPECの相対的なマーケットシェアに係わるこれらの変化は市場におけるOPECの影響力を物理的なものから，より理論的なものにしてしまった。