導電性高分子と無機材料とのハイブリッド化による熱電変換材料について

摘要

熱から直接発電する熱電発電は室温付近の質の低い熱でも電気へ変換できる利点を持ち，可動部が無いことからメンテナンスフリーで長寿命である利点を持ちながらその低い効率がネックとなり実用化が遅れている。そのため，熱電変換の効率と直接関連する無次元性能指数ZTの向上が精力的に進められてきた（Z＝σS~2／λ，σ：導電度S／m，S：ゼーペック係数V／K，λ：熱伝導率W／（m·K），T：絶対温度K）。しかし，近年は実用化へ向けた新たな動きとして，デバイスの製造コストを下げる重要性も指摘されるようになってきた。熱電モジュールは一般的に∏型構造（図1）と呼ばれる細かい素子が直列接続される複雑な構造からなっており，その加工が難しい。