フィラーの粒子径や粒度分布が充填性, 流動性に及ぼす影響

摘要

以上の結果をまとめると以下のような結論が得られる。 1）粒子径が限界粒子径以上では粒子径に無関係に空間率は一定値を示すが，限界粒子径以下では粒子径の減少とともに空間率が増加し，密充填が難しくなる。 2）粒度分布の幅が広くなると大粒子間の隙間に小粒子が入り込むので空間率は減少し，密売填できるが，分布が広がることにより充填しにくい微粒子の比率が多くなりすぎるとかえって空間率が増加する場合がある。3）狭い流路への樹脂の流入長さであるスリットフロー値と，流路厚さの間には，流路厚さに比例してスリットフロー値が増加する領域と流路厚さによらずスリットフロー値が，ほぼ一定値を示す領域が存在する。 4）各流路厚さと充填材のふるい下積算3％粒子径の比，流路厚さ以上の粒子の体積分率と粉体の充填率との積でフィラー粒子による樹脂堰き止め効果の強さを表すことができ，これらからスリットフロー値を推定できる。 これらの実験，モデル両面から得られた結果がフィラーの粒度分布を検討する際にお役に立てば幸いである。