IH（電磁調理器）における事故と安全対策

摘要

IH（Induction Heating＝電磁誘導加熱）調理器は、阪神大震災の被災地や、オール電化住宅を中心に普及が進んでいるが、消費者に「火事が起きない安全な加熱器具」のイメージを持たれていることも普及の大きな一因であろう。 しかし、実際には出火や発煙の事故が生じており、「IH調理器事故急増」との新聞報道（9月19日読売夕刊）も行われている。同記事によると、独立行政法人製品評価技術基盤機構（NITE）にメーカーなどから通報があった事故は、2002年度から06年度までの5年間で計14件だったのに対し、07年度は8月までの5ヶ月で10件に達している。 NITEへの事故報告は任意であり、件数の増加には、最近の製品事故への関心の高まりや、消費生活用製品安全法改正による重大製品事故の国への報告義務化の影響もあると思われるが、IHの「安全神話」が揺らいでいるのは確かであろう。