Ni-Mn-Ga系強磁性形状記憶合金の組織と特性

摘要

Ullakkoらはホイスラー組成付近のNi－Mn-Ga合金マルテンサイト相において数％の磁場誘起歪みが生じることを報告している[1]。 これは磁場による双晶変形による歪みで（双晶磁歪），磁気弾性効果による通常の磁歪とは異なった機構による。 それ以来，強磁性形状記憶合金は高速で大変位が発生可能な磁気アクチュエータ材料として注目されており，Fe－Pd，Fe-Pt，Co－Ni-Al，Ni－Ga-Feなど様々な合金系が研究されている。 中でもNi－Mn－Ga合金はキュリー温度T_Cが比較的高く，組成を変えることでマルテンサイト変態温度も大きく上昇するため，最も実用化に近い合金である。 しかし，現時点では出力が低い（～数MPa）という問題があり，双晶境界の易動度と磁気特性，特に結晶磁気異方性エネルギーの向上の必要がある。 本報ではNi-Mn－Ga系3元系合金の組織·諸特性と希土類元素（Nd，Sm，Tb）の添加の影響について報告する。