住宅室内たおける揮発性有機化合物汚染の実態と推移

摘要

2000年から2005年にかけて全国的に実施した、室内空気中の化学物質汚染に関する調査の結果に基づき、建築基準法改正を挟む6年間における汚染濃度の動きについて述べた。築後1年以内のいわゆる新築住宅室内においてホルムアルデヒド及びトルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレン、アセトアルデヒドなどのVOCの濃度を同時に測定し、建物仕様或いは生活状況と対比して分析を行った。連続換気システムを運転する住宅比率の増加、畳やカーペットの減少傾向などが見られる。また、ホルムアルデヒドをはじめとする化学物質濃度は年を追って低下し、平均濃度は何れも指針値より充分に低くなった。この濃度低下傾向は全ての地域において、構造種別を問わずに見られ、建築基準法改正による建材放散性の改善と換気設備の設置に加え、他の政府、民間建築企業$$建材製造者や様々な関連団体が国を挙げて室内空気質の改善に努力した賜物と考えられる。筆者らは、さらに室内化学物質濃度を含む空気環境の水準と動向に注目し、検討を今後も続けていく必要があると考えている。