講座「地球大気環境」を始めるに当たって

摘要

本空気清浄協会が設立されて40年を迎えます。 設立当時は、東京オリンピックや高速道路の開通を控え、経済成長期へ入るころであり、やがて大阪万博を含む、いざなぎ景気を迎えます。しかし当時の大気汚染ほひどいもので、四日市喘息が社会問題化してきますが、それを機に、石炭から石油、さらに原子力へとエネルギー源の転換が行われます。 しかし石炭燃焼によるロンドン型の汚染は解消されたものの、光化学スモックによるロスアンジェルス型の汚染が顕在化してきます。 海外では、1950年代のロンドンエピソード（死者4000人）を経て、世界的に大気環境への関心が高まり、1969年、1972年と国連人間環境会議が開催され、地球大気開発計画（GARP）がスタートし、1979年WCRP世界気候研究計画がスタートします。 いずれも汚染の進行と温暖化の機構を調べようとする物理化学的研究が進められます。 その後1985年にオゾンホールの観測に成功し、酸性雨による被害も拡大して行くことになi）ますが、地球圏生物圏国際共同研究計画（IGBP）が1990年にスタートします。 この計画は、従来の物理化学的アプローチに、生態系（Eco System）の重要性を喚起し、それを加えた点、画期的な計画でした。