フォージャサイト型ゼオライトによるホルムアルデヒドの反応性制御に関する計算化学的考察

摘要

当研究室では，不安定分子であるホルムアルデヒドが，フォージャサイト型ゼオライトの細孔におい長期間安定に保存され，かつ有機反応に利用可能であることを実験的に発見した．本研究ではフォージャサイトにおけるホルムアルデヒドの安定化と活性化およびSi／Al比の異なるフォージャサイト(NaY，NaX）におけるホルムアルデヒドの分光値や反応性について計算化学的な手法を用いて解明を試みた．安定化はホルムアルデヒドのカチオンサイトに対する吸着エネルギーによる自己重合平衡の逆転に由来し，含Al量の多いNaXにおける反応性低下をも主要な吸着サイトにおける反応基質の共吸着による反応系の安定化と結論した．