層状化合物を前駆体とするFe-添加ピロリン酸バナジル触媒の調製

摘要

（VO）_2P_2O_7触媒への新規助触媒添加法として，VP層状化合物の層間修飾を経由する調製法を検討した。 アルコールを層間化合物とするvanadyl benzylphosphateまたはvanadyl alkylphosphateとFe（acac）_3をトルエン溶媒中で加熱撹拝したところ，Fe（acac）_3がVP層状化合物層間に均一に導入された。Feの導入量は層間アルコールの種類に依存した。 前駆体中の有機物をブタン/O_2/N_2流通下, 733Kで除去しFeと複合化した（VO）_2P_2O_7相を得た。 高ロード条件（ブタン5％）でのブタン酸化反応において, 含浸法によるFe添加ではマレイン酸選択率の低下がみられたが，層間修飾法によるFe添加では，ブタン転化率，MA選択率共に向上した。 表面積あたりの無水マレイン酸生成速度は従来触媒の2倍以上に向上し，本法の有効性が示された。