痴呆を伴う運動ニューロン疾患　Guam島の筋萎縮性側索硬化症とパーキンソン痴呆複合

摘要

Guam島の筋萎縮性側索硬化症(Guam amyotrophic lateral sclerosis: Guam ALS)とパーキンソン痴呆複合(parkinsonism -dementia complex :PDC)は, Guam島原住民であるChamorro人に多発している原因不明の神経変性疾患である.GuamALSは, 1954年にKurlandらによりアメリカ本土の50倍以上の有病率でGuam島のChamorro人に多発するALSとして報告されて以後,現在まで病因解明のため詳細な疫学的,臨床的検討がなされてきた. Guam ALSの病因については,家族内発症を示すことから当初,遺伝性疾患の可能性が検討された.しかしMendelの遺伝形式では説明できずcycas (蘇鉄)由来の神経毒とアルミニウム,カルシウム,マグネシウムなどの金属代謝異常3)などの環境要因の関与が主に検討されてきた.