空気中に含まれる微量成分の固体高分子形燃料電池性能への影響評価－電流分布計測による性能低下機構解析

摘要

固体高分子形燃料電池（PEFC）の酸化剤ガスとして使用される空気には，窒素，酸素以外にもさまざまな微量成分が含まれている．微量成分の種類や濃度によっては，PEFCの性能に影響を及ぼす可能性があるため，自動車用PEFCの実使用環境下での性能や耐久性を評価するためには，空気中に含まれる微量成分がPEFCに及ぼす影響を詳細に把握することが重要である．燃料電池ではガス入口と出口で燃料や酸化剤，および両者の反応で生じる水蒸気の濃度が異なり，電極面内で電流の分布が生じている．微量成分が混入した場合には，触媒の被毒等により電極面内での反応に偏りが生じ，電流分布に変化が生じることが予想される．本研究では，単セルによる発電性能評価の際の電流分布を解析することで，空気中に含まれる二酸化硫黄（SO_2），二酸化窒素（NO_2），アンモニア（NH_3）によるPEFC性能劣化機構の検討を行った．