運転支援システムのドライバ受容性評価に関する研究－ドライバの情報処理過程の解明と体系化

摘要

著者らはかねてより，ドライバが周囲の情報をどのように処理して行動に至ったのかという過程を，主に主観評価により得ることが，システムのドライバ受容性評価に活用できると考えて研究を行ってきた．一般に，観測されるドライバの運転行動には，独立した複数の要因が関わるため，操作や反応の様子から一意的にその要因を特定することが難しい．特に今後実用化が期待される通信技術を利用したシステムでは，時間と空間スケールが拡大する（現在のシステムよりも早いタイミングで事前情報を提供できることや，直接見ることができない対象に関する情報が提供できるようになる）ことから，要因の特定はさらに難しくなると考えられる．ドライバの行動に関わる要因を直接的に得る方法として，主観評価により情報処理過程，すなわちドライバがどのように考えて行動したのかという思考過程を得ることは有用であると考えている．本報では，これまでに実験等を通して得られた，ドライバの情報処理に関する知見をまとめるとともに，その活用を議論する．ドライバの情報源と情報処理過程についてのモデルを示す．さらにモデルを活用してシステムのドライバ受容性評価を試みた結果より得られた，情報処理を明確化することの有用性と課題についてまとめる．