「注目施策」--素形材技術戦略～素形材技術ロードマップ

摘要

日本のものづくりを取り巻く環境は日々厳しさを増している。 特に、円高、エネルギー·材料価格の高騰、米国の景気減速等の最近の環境変化が今後の素形材を初めとした日本のものづくり産業へ多大な影響を与えるのではないかと危惧されている。 さらに、地球温暖化、日本国内のマーケット縮小、グローバル化への対応、国際競争の激化等近未来の問題への対応も必要不可欠になってきている。大企業に比較して人·モノ·金といった資産に乏しい素形材関連の中小企業がこのような多様な問題に対応し、収益を上げて成長していくためには、他者と差別化を図るための付加価値の高い「強み」を有する必要があると考えられる。 中小企業においては企業規模が小さく資金力が乏しくても傑出した技術によって世界と渡り合っている企業も存在しており、技術、顧客への提案能力、品質面での高い信頼性等の独自の強みを活用して収益を上げることが可能であることを証明している。 しかしながら、こうした技術を中心とした強みを意識的に活用できていない企業も多いように見受けられる。 また、目まぐるしい環境変化の中で将来的にどのような技術が「強み」となるか把握できていない企業も多いと考えられる。 このため、日本の中小企業を中心とした素形材企業にとって、将来的に収益を生むための源泉となる技術開発を進め、世界の製造業の生命線を握る「強み」となる重要技術を掌握することが求められる。 この達成の手段として、「素形材技術ロードマップ」を作成し、技術の戦略的活用、事業化等により世界市場における確固たる優位性を確保することが可能になると考えられる。