「難加工材料の鍛造技術」高炭素クロム軸受鋼(SUJ2)の冷間鍛造

摘要

難加工材とされる高炭素クロム軸受鋼(SUJ2)を冷間鍛造で量産し、複雑形状、高精度の加工を可能にした経緯を、主として製造現場の経験から説明する。 材料を加熱しないで、室温又は室温に近い温度で行う鍛造のことである。 材料は変形させやすい成分·組織で平滑な表面をもつことが必要であり、寸法精度も良好なものが要求される。 材料の加工硬化によって工具に大きな負荷が加わり工具を破壊する危険がある一方、材料はもろくなってきて、時には変形中に割れる。加工物には残留応力が発生し、後加工·処理の際の寸法変化の原因となる。しかしながら、冷間鍛造品は寸法精度と表面状態が良好のため、後加工が大幅に削減できるか、研削だけで済むことが多い。 型寿命は数千から数万に及び、ときには数十万以上もつ場合もある。加工硬化による加工物の降伏点の上昇、被削性の改善が利用される場合もある。