マルチパス環境下におけるGPS測位データの特性評価

摘要

GPS（Global Positioning System）を用いた測位では，最低3機以上の衛星からの電波を受信することで衛星-受信機間距離（擬似距離）を衛星毎に検出し，計算処理を施すことにより高精度の測位を可能にしている．しかし，都市環境のように道路の周囲にビル等の建造物が取り囲む場合，衛星信号の遮断やマルチパスの影響を受けて，測位精度が劣化するという課題が存在する．本研究では，GPS測位におけるマルチパスの影響について評価·解析することを目的として，2つの建物に挟まれた複数地点にGPS受信機を設置し，測位実験を実施して測位精度やGPS衛星-受信機間の距離データ等の情報を収集した．その結果，建物の影響により衛星が見通し外となる範囲（マスク範囲）と各衛星の軌道データとの関係と，測位誤差や疑似距離及び電波強度の変動の大きさや方向との間に，一定の関連性や傾向を見出したので報告する．