衛星搭載大型反射鏡アンテナによる低サイドローブマルチビーム生成方法の検討

摘要

静止衛星を用いた衛星携帯電話システムでは衛星搭載マルチビームが不可欠であるが，これを実現するために，現在では大型反射鏡とフェーズドアレー給電部からなる衛星搭載アンテナが利用されている．このようなアンテナのビームを所望のビームパターンにする方法として，適当な拘束条件の下で励振分布を探索して最適化するやり方が知られている．しかし，一般には，あらかじめ所望する複数のビーム方向の利得を決めてそれらの方向の拘束点を設定するものである．一方，ビームのサイドローブレベルを広範囲に渡って低減化するための拘束点については，サイドローブの方向が不明なため，どのように拘束点を設定するべきかは確立していない．そこで本報告では，低サイドローブビームを生成するための拘束点を設定する3つの指針を提案し，この指針に基づいて設定した拘束点を用いて最適励振分布を探索する物理光学計算手法の計算機シミュレーションを行い，提案する指針が有効であることを検証する．さらにこの指針は計算機による自動化に適していることから，実際に160ビームからなる低サイドローブ化したマルチビームを自動生成した例を示す．