サイクリック構造を含むシグナル伝達経路ペトリネットモデルの滞留なし発火頻度決定手法の提案

摘要

本稿では，サイクリック構造を含むシグナル伝達経路ペトリネットモデルが滞留なしペトリネットとなるた砂に満たさなければならない条件について検討する．滞留なしペトリネットとは，いずれのプレースにおいても流れてくるトクンと流れ出ていくトークンの量が等しいペトリネットである．シグナル伝達経路におけるシグナルの伝達が，主に酵素によるタンパク質のリン酸化によって行われることから，シグナル伝達経路の中で酵素の果たす役割は大きい．この酵素はタンパク質をリン酸化する働きに対しては触媒として作用するため，ペトリネットにおいては自己ループによって表現される．サイクリック構造とは，この自己ループを最小構造とする構造的循環，つまり反応のループであり，これらの構造を含むペトリネットが滞留なしペトリネットとなるために満たさなければならない条件を導く．