ガス調理機器の燃焼およびその周辺技術

摘要

私達が最も身近に「熱」を利用している行為は，日々の食生活における調理ではないだろうか．手元の炎を自在に調節しながら食品材料に熱を加え，自分好みの料理を仕上げることは，古代，人類が火を手にしてから脈々と受け継がれてきた行為といえる．加熱調理操作とは食品に熱をかけることにより，食べ物として望ましい変化をおこさせ，栄養効率，安全性および嗜好性を向上させることである．この目的のため，高温を得る熱源が必要であり，そこで生じた熱を，直接または間接的に食品に移動させるしくみ，つまり調理機器が必要になる．調理は，単に火力が強く，速ければよいというものではなく，一定の加熱と最適な時間が必要である．最近のガス調理機器は安全かつ利便を追求し，加熱の温度と時間のコントロールを容易にしている．このようにガス調理機軌ま安全性，調理性，高効率，低コスト，故障率の低減およびメンテナンスの容易性を目指したハードウェアに，使い勝手やデザイン性も兼ね備え，ざらに料理レシピに代表される使い方のソフトウェア提供も合わせて総合的に商品化されている．本論ではその一端を紹介することとし，まず調理機器全般の燃焼機構部に共通な構造や機構を解説する．次に，加熱調理の種類からみた機器の分類を述べ，家庭用および業務用調理機器それぞれの特徴や最近の動向について紹介する．