加工面を評価する装置と評価事例：表面加工研究への透過型電子顕微鏡法の応用

摘要

表面研磨は紀元前からあった加工技術で，最も長い歴史をもつ加工技術の一つといえる．このように古くから利用された加工技術が，幾多の時代的変遷·発展を経て，材料工学，電気電子工学などの分野で最先端技術として活躍し，また基幹産業を周辺から支える基盤技術になっている．今や表面加工の研究はマクロなレベルにとどまらず，原子オーダのミクロなレベルにも広がりつつあるが，表面加工技術に対する透過型電子顕微鏡法利用はまだ広く認知されているわけではなさそうである．砥粒加工研究への透過型電子顕微鏡応用を，読者諸氏が御検討いただく小さなきっかけになればと考え，本稿では透過型電子顕微鏡の基本的機能と最近の試料作製技術をいくつか紹介する．紙面が限られるので，言葉足らずをお詫びするとともに，透過型電子顕微鏡法の基礎や応用，試料作製技術に関する参考書，最近の関連資料，文献のいくつかを参考文献欄に示したので，必要に応じて補充や確認をお願いしたい．