MEMSの製造技術と利用技術：マイクロ光通信デバイスの製造技術とその応用

摘要

近年，高速·大容量の光通信ネットワークは，ユビキタス社会を支える通信インフラとして，その重要性がますます増大している．光通信ネットワークの実現には，スプリッタのような光分岐デバイスやアレイ導波路格子(AWG：Arrayed Waveguide Grating)に代表される光合分波デバイス，さらに光信号を電気信号に変換することなく特定の光信号の行き先を変えることができる光スイッチや光信号強度のレベル調整が可能な光可変減衰器(VOA：Variable Optical Attenuator)等のさまざまな光通信デバイスが不可欠であり，現在，その開発が進められている．一方，特集号の主題であるMEMS製造技術は，これらの光通信デバイスに要求される小型化，モノリシックな高集積化，一括大量生産による低コスト化等に高いポテンシャルを有し，さらにマイクロアクチュエータを組み込むことによって波長可変機能をもつ高機能な光通信デバイスを実現することができる等，低コストで高性能，高機能な光通信デバイスを提供する手段として期待されている．ここでは，著者らが開発を進めてきたマイクロ光通信デバイス（熱毛管光スイッチ）を例に取り上げ，その製造技術（加工技術～実装技術）と応用展開例について述べる．