旅客機の室内騒音·振動低減技術と実証試験

摘要

騒音制御は自動車，航空機，ロケットなど多くの分野に適用が注目され，数々の研究がなされている。 研究の対象である騒音制御には大きく分けてパッシブ制御とアクティブ制御の2つがある。 パッシブ制御は吸音材やダンピング材を構造に組み込み，音の透過損失を高めるものであり，アクティブ制御には二次的な音をスピーカから発生させて騒音を打ち消すノイズコントロール法と騒音により励起される構造物の振動を二次的な外力により制御して音の伝播を抑える騒音制御法がある。 航空機における騒音制御に対し，これまで一般に適用されてきたのはパッシブ騒音制御であるが，この方法では吸音材やダンピング材を組み込む空間が必要であり，高周波数領域では非常に有効であるが，低周波数領域では音の波長が吸音材の厚さより大きくなり効果がなくなる等の問題点がある。 そのため，高周波数領域はこれまでのようにパッシブ騒音制御法を適用するが，低周波数領域ではアクティブ騒音制御法の適用が望ましいと考えられている。 このアクティブ騒音制御法についての研究が世界各国の研究機関で行われてきた。 しかし，現状では，特定の周波数や狭帯域の周波数領域に対してしか有効な騒音低減が実証されていない状況である。ここでは，広帯域の低周波数領域での騒音·振動低減を試みた日本の研究事例を紹介する。