車体表面吸音による新幹線車両下部音対策

摘要

新幹線騒音はその発生源別に集電系音（架線·パンタグラフ系から発生する騒音），車両上部空力音，車両下部音（転勤音，台車周りの空力音など），構造物音等に分けて考えることができる。 車両下部音は防音壁に隠れているため，集電系音と比べて全体騒音に対する寄与は大きくないとされていたが，低騒音パンタグラフや低騒音碍子の開発により集電系音が低減した結果，車両下部音の寄与が相対的に大きくなり，その対策の重要度は増している。 車両下部音に対しては防音壁が有効で，さらに，騒音低減効果を上げるために吸音材を付加することも行われているが，この対策は工事延長も長くなりコストもかかる。 そこで，車体表面に吸音機能を持たせ，車体表面と防音壁間の多重反射を抑えることによる車両下部音低減対策の開発を現在進めている。 本稿では，車両に吸音機能を持たせた場合の数値シミュレーションおよび縮尺模型実験による下部音低減効果検討と車体表面の吸音構造に関する要素開発の概要について述べる。