建築分野における人体振動評価のための実験とその結果

摘要

建築物に生じる人体振動の問題は，我が国では主に日本建築学会の「建築物の振動に関する居住性能評価指針」によって評価される。敷地境界における地盤の振動を測定対象とする振動規制法と異なり，建築では居住者が評価するという観点から，建物内の振動を制部する。したがって，建築分野における人体振動評価の実験では，被験者に評価対象となる振動を入力し，それに対する反応と振動の物理量との関係を検討するものが多い。 本稿では，このような建築物における振動評価の特質を背景にしながら，既往研究における実験方法を概括し，筆者らが行った実験の方法と水平振動の知覚閾との関係について詳述する。