原子力発電所が二度と過酷事故を起こさないために－防災までを共に考える原子力安全

摘要

原子力発電には基本的に「放射能リスク」を内在するものであり，福島第一原子力発電所の事故はそれを顕在化させた。国，地方自治体，学術界，事業者（電力），メーカなど全てのステークホールダーにおいて，原子力発電にかかわりを持つものたちが，その役割においてその責任を自覚するとともに，「原子力安全」の本質に取り組むことが重要であると認識させられた。設計，運転，そして防災の領域で役割に応じて安全確保策に取り組まなければならないが，異常事象発生の防止，その影響の緩和策の施行，そして放射性物質放出事故の発生に対して，いかに被害を防ぎ緩和させるか，リスク評価を介してお互いの分担と効果を確認することが，安全策の実効性を上げる上で重要なことである。特に，これまでほとんど取り組んでこなかった防災，さらに事故の後始末まで拡大した広範なリスク評価を提案する。それにより，原子力安全の事故耐性が格段に良くなることが期待される。