ITERを軸としての核融合開発と最近の成果：大阪大学の高速点火レーザー核融合計画(FIREX)の現状

摘要

高速点火では，爆縮を制御してホットスパークを形成する必要がないことより，爆縮の一様性，球対称性の条件が緩和される。 しかし，超高強度レーザーにより爆縮プラズマを瞬間的に加熱することが新しい研究課題となる（第VI-1図下段参照）。高速点火プラズマは中心にホットスパークを持たないことより，半径が中心点火プラズマのサイズの約半分，すなわち，高速点火プラズマの体積は1/8になり，中心点火と同じ核融合燃焼率を1/8のレーザーエネルギーで達成できることになる。 第VI-2図の点火および利得カーブが高速点火ではレーザーエネルギーの小さい方に1桁近く移動しているのは以上の理由による。このことは，点火実証実験や核融合実験炉を中心点火よりはるかに安価に研究開発できることを意味している。