地熱発電の現状と今後の展望：地熱エネルギー開発の歴史と問題点

摘要

2011年3月の東日本大震災とそれに続く原子力発電所の津波被害による損傷を受けて，再生可能エネルギーの導入普及が進んでいる。地熱発電は，昼夜や天気の影響を受けず，24時間安定した電力を大規模に供給できるベース電源として有望であり，石油の代替エネルギーとして二酸化炭素の排出の少ない電源として考えられ，2度の石油危機を経て発電所が各地で建設された。しかし，1997年に国の政策的な支援を受けられなくなったことから急速に開発の機運がしぼみ，1999年以降，新規の発電所は建設されていない。地熱発電は，火力や原子力発電と同じように蒸気でタービンを回転させて発電を行うが，地面からの蒸気を用いることから低温低圧であるなどいくつかの差異がある。また，地下資源であることから開発期間が長くかかることや開発にあたって温泉への影響が懸念材料となるなど，地熱発電特有の問題点もある。地熱発電の導入経緯や特有の技術開発，今後の見通しなどについて解説する。