最近の通電加熱装置の動向

摘要

今回ご紹介してきた通電加熱装置の導入例は，ごく一部であり，ここでご紹介した以外にも様々な食品の調理や殺菌ラインに使用されている．近年，通電技術による電気的効果を期待した技術開発が進んでおり，抽出技術や菌への影響などの試験が実施されている．また，通電加熱殺菌には熱的殺菌効果以外に電気的な殺菌効果が認められる報告がなされ，平成15年度から独立行政法人農業·食品産業技術総合研究機構食品総合研究所と共同研究を行い，現在処理能力最大5.4t/hの装置が，果汁殺菌ラインに導入されている．この技術は交流高電界殺菌技術（HEF-AC）とよばれ，最大の特長は，熱と電気の相乗効果による殺菌技術であり，加熱殺菌時間も約0.01秒にて終了している．交流高電界殺菌技術の開発は，高品質で安全性の高い食品の製造が可能になり，通電加熱を基本とした最新の殺菌技術である．通電加熱装置は，従来の加熱装置では得られなかった効果や今までと異なった生産効率の良い新たな製造ラインの可能性を見出している．