食品の安全·環境技術に役立つ冷凍講座 第25回 加工食品におけるBacillus属細菌汚染の現状と対策

摘要

本稿では，食品中におけるBacillus属細菌汚染の現状，増殖の抑制，増殖挙動の把握および増殖の予測について，筆者がこれまで行ってきた研究内容を中心に解説した．Bacillus属細菌は食中毒を引き起こす菌種は少ないものの，タンパク質分解力やデンプン分解力が強い菌が多く，代表的な食品変敗菌である．よって，食品中のBacillus属細菌の挙動把握や制御手法についての研究の推進が，食品製造業者に与える影響は大きい．食品の長期保存に冷凍技術が非常に有効であることはいうまでもないが，今後，こうした分野の研究が推進することで，必ずしも冷凍や冷蔵技術に頼ることなく食品の中·長期保存が可能となることを期待する．