連載（海外情報）：新興国の流通事情③ フィリピンの流通事情

摘要

フィリピンは、第2次世界大戦直後は、米国との特別な関係から、アジアで最先進の国であったが、1960年代からは長い低迷のトンネルの中にあった。しかし、21世紀に入りようやく先に明るさが見えてきている。それゆえ、これからの時代に発展の可能性をおおいに秘めた国と言えるのではなかろうか。これまでアセアン諸国に比べ、主に製造業で強みを十分発揮できず、世界の経済発展に遅れを取っていたが、21世紀に入り、ピープルズパワーに代表される民主化により、徐々に政治·経済·社会システムの成長が見られるようになってきている。そして、ICTの進展と経済のグローバル化が、世界進出への柔軟性を備えるフィリピンにとって追い風になっている。また、言語はタガログ語を母体とするフイリピノ語が国語であるが、全土では、80程の言語グループが存在するため、英語が公用語となっている。アセアン唯一の英語圏ということと、海外へ出かけることへの抵抗感のなさが、海外とのビジネス交流の壁を低くしているのである。ブイリピノ·ホスピタリティといわれる、明るさと親しみやすさを持つこの国の人々に、21世紀の成長株となることを願い、期待するものである。