ナトリウム燃焼残渣の炭酸ガス安定化実験

摘要

原子炉の冷却材にナトリウムを用いる高速炉（FR）において，ナトリウム漏えい事故時のナトリウム燃焼を抑制·停止ざせることを目的とした窒素ガス注入設備が，ナトリウム漏えい対策の－環として検討されている［1］．しかし，窒素ガスを用いてナトリウム燃焼を抑制·停止させた場合，未燃焼のナトリウムを含む燃焼残漬は室温まで冷却したとしても，空気に曝露することにより再び着火·燃焼に至る場合があることが報告ざれている［2，3］これら再着火現象の原因やメカニズムに関しては，現象論および機構論の両面から解明する努力が続けられている［4-8］。 一方，再着火を防止するという観点からは，燃焼残法を室温で空気に曝露する前に，いったん湿り炭酸ガスに曝すことにより表面を炭酸ナトリウムとして安定化することが再着火防止方策として有効であると示唆される結果を基礎実験で得ており［4，5］，この炭酸化に関してはナトリウム機器の解体·洗浄の前処理方法開発の面からも研究ざれている［8】．本研究においては，これまでの実験事実およびFRプラント実機への適用を踏まえ，燃焼残渣の再着火の様相を観察しつつ，再着火および再燃焼を防止する観点から燃焼残渣の安定化に関するパラメータの影響を把握することを目的とした．