ゾーンシステム③露光量決定の基礎

摘要

ネガ·ポジ法の写真で露光決定について大切なことは露光不足のネガを作らないことである。 したがって撮影にあたっては露光を測る場所の選択がとても重要である。 露光不足のネガ、とくに乳剤中に情報ないネガの救済は、補力処理を使っても不可能なことは自家処理で写真を制作されてきた方々はよくおわかりのことであろう。 このようなことから露光量決定の第1歩は、「被写体のシャドー部の表現をどのようにするか」から始まる。 前号に書いたゾーン0からXそれぞれの説明を参照していただきたい。 それを見ると、ディープシャドー部に近い部分の表現はゾーンIIとIIIが受け持ち、ゾーンIIは「かなり黒に近いがわずかに調子が出ている」部分で、IIIは「シャドー部の調子が充分に出ている」領域である。 したがって露光量の決定は被写体全体を見渡しながら、この部分の表現を念頭において注意深く行う。 このようなことから、理論的にはゾーンIIの表現を考えるのが順当であろうが、重要なディテールはゾーンIIIのものである。 このあたりのシャドー部の表現は経験を多く積めばわかってくるものである。