太陽熱利用吸収式冷暖房システムの熱工学的解析：低温排熱とのハイブリッド化検討

摘要

その大半は，外気温や日射などの天候や，電力や熱などの需要が時々刻々と変化する現実の使用状況の下での機器性能やエネルギー消費量を反映しているとは言い難い．また，電力や暖房·給湯などの温熱利用，冷房や冷蔵·冷凍などの冷熱利用の日変動や季節変動を考慮したものは極めて少ない．そこで著者らは，新たな太陽熱利用の用途拡大を目指して，太陽熱集熱器により製造した70～90℃程度の温水を熱駆動の吸収式空調システムの熱源として利用するソーラークーリングシステムの開発を進めてきた．本報では，上述の社会的背景や資源有効利用の観点から，都市内で自立運転が可能なソーラークーリングシステムの実用可能性について調べることを目的に，都市内に存する再生可能エネルギー·未利用エネルギーと，吸収式冷凍機／ヒートポンプを用いたその利用方法について，大阪市を事例とし，理論的に検討する．