斜板形圧縮機における斜板·シュー間の油膜挙動測定

摘要

斜板とシューの相対運動を模擬したモデル実験装置において，変動荷重およびピストンのすりこぎ運動が斜板/シュー間の潤滑油膜挙動に与える影響を光干渉法によって観察した．その結果，以下の結言を得た．(1) 一定荷重または変動荷重のみがシューに作用する状態においては，斜板/シュー間の最小油膜位置はシューのすべり方向後ろ側に位置し，くさび形油膜が安定して形成される．(2) シューへの荷重が抜けた状態において，すりこぎ運動によるピストンからシューへの油膜せん断力が作用することでシューの姿勢は変化する．このときシュー中心付近に最小油膜位置が移動し，くさび形油膜状態は失われてシューの挙動が不安定になる．この不安定挙動が圧縮機吸込み時における斜板/シュー間の接触原因である可能性がある．