エアコンへの新冷媒導入による温室効果ガス排出量の算定～LCA手法を用いて

摘要

LCA を用い家庭用及び業務用エアコンへの新冷媒の導入について、冷媒起因と使用時電力起因に着目しGHG排出量の算出による温暖化影響評価を実施した。家庭用及び業務用いずれのエアコンも、現行冷媒と新冷媒の使用時消費電力量が同一かつ廃棄時冷媒回収率が同一であれば、新冷媒のGHG 排出量の方が現行冷媒よりも尐なく、新冷媒の導入効果を確認できた。しかし、現行冷媒よりも新冷媒の使用時消費電力量が多くなると、廃棄時冷媒回収率によっては新冷媒のGHG 排出量の方が現行冷媒よりも多くなる場合もあることに留意する必要がある。ライフサイクル全体のGHG 排出量に与える影響の大きい使用時消費電力量について、既存調査から抽出できた設定温度及び使用時間による感度分析をおこなったところ、平均設定温度に基づいたGHG 排出量はJIS 規格よりも31%増加し、使用時間が短くなるほどライフサイクル全体に占める冷媒起因のGHG 排出量構成比が増加するため新冷媒の導入効果が大きくなることがわかった。また、実測データによるシミュレーション結果より、JIS規格による運転と実運転の消費電力量との間に差があることがわかった。