欧州ころがり軸受技術トレンド 第7回：ころがり－すべり接触における混合摩擦に対する垂直応力説の適用（下）

摘要

ころがり接触においてすべり摩擦が増加することによって発生するクラックはさまざまな形で現れてくる可能性がある。硫化マンガンによってもたらされるトライボケミカル腐食，表面を指向する傾向が非常に強い腐食疲れクラック，粒界初期クラック，マイクロピッチングがそれである。産業機械用変速機の場合，軌道面に向かって垂直に伸びる粒内初期クラックが発生しやすい（図2）。次の段階においては，このクラックによって腐食疲れが誘発されるため，材料内でクラックがさらに数mm伸びる可能性がある。過剰負荷による，へき開破壊に類似したぜい性破壊クラックによって，レンズ状ないし半円状の境界線が形成され，この線が50～約250μmの深さのところまで伸びる場合がしばしばある。こうした例を図7(a)と(c) に示す。